
はじめに
2025年1月に配信リリースされたMrs. GREEN APPLEの楽曲『ダーリン』。この楽曲は、NHKの特別番組『18祭(フェス)』のために書き下ろされた作品で、若者の“本音”と向き合って作られたメッセージ性の強い楽曲です。
Mrs. GREEN APPLEは、大森元貴(Vo/Gt)、藤澤涼架(Key)、若井滉斗(Gt)からなる3人組ロックバンド。ジャンルに縛られない音楽性と、文学的かつ感情に訴える歌詞で多くのリスナーを魅了しています。そんな彼らが“18歳世代”とともに創り上げた『ダーリン』には、一体どのような意味や魅力があるのでしょうか? 本記事では歌詞の考察を交えながら、じっくりと楽曲の世界を紐解いていきます。
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【18祭】Mrs. GREEN APPLE『ダーリン』| 18Fes | NHK
リリース背景と制作経緯
『ダーリン』は、2025年1月20日にユニバーサルミュージック内のレーベル・EMI Recordsより配信限定シングルとしてリリースされました。本楽曲は、NHKが主催する若者参加型の特別番組『18祭』のテーマソングとして書き下ろされたものです。
2024年5月にMrs. GREEN APPLEが『18祭』の楽曲を担当することが発表され、12月にはタイトルが「ダーリン」であると明かされました。12月25日にはNHK総合にて番組が放送され、番組内で本楽曲が初披露。パフォーマンス映像はNHKの公式YouTubeチャンネルでも公開されています。
前作『ビターバカンス』から約2か月ぶりとなるこの作品には、Mrs. GREEN APPLEが“18歳”という時期にある若者たちと向き合い、彼らの“本音”を音楽に昇華するという姿勢が表れています。
さらに、2025年2月3日放送のTOKYO FM『SCHOOL OF LOCK! ミセスLOCKS!』では、メンバーが『ダーリン』の制作秘話を語っています。
大森元貴はこう語っています:
「『ダーリン』はもともと、NHKの『18祭』がきっかけでできた楽曲です。日本全国の18歳世代の“本音”と向き合い、制作させていただきました。」
また、楽曲公開と同時にMV(ミュージックビデオ)もリリースされ、ラジオではリスナーから多くの感想や質問が寄せられました。
タイトルの解説
まず、この楽曲のタイトル『ダーリン』は、一見すると甘く親密な響きを持つ言葉です。しかし、この歌詞全体を通して読み進めると、その呼びかけには「切実さ」や「救いを求める声」が滲んでいることが分かります。
“ダーリン”という呼びかけは、ただの恋人宛ての言葉ではありません。
「どうかこの気持ちを、理解して。私を、ひとりにしないで。」
という、心の奥底から発せられたSOSのような響きが感じられます。
繰り返される“darling”のフレーズは、祈るように、すがるように、そしてどこか諦めにも似た響きを帯びていく。それが、聴く者の心をぎゅっと掴んで離さない要因の一つです。
歌詞のテーマ・背景分析
『ダーリン』の歌詞には、孤独、葛藤、そして誰かを想うことの大切さが繊細に描かれています。大森はラジオで、「“悲しい”とか“嬉しい”とか“楽しい”という感情も、誰かという“対象”がいて初めて起こる」と語っており、その視点が楽曲全体に貫かれています。
ギターの若井滉斗は制作中にメモしていた内容を紹介し、そこにはこんな言葉が記されていました:
「悩みは尽きないということに気づく」
「自分との対比であなたのことを書いている。焦点は自分じゃなくて対象」
このように、『ダーリン』は“自分”という孤独な存在から始まりながらも、“誰か”への想いを通して世界が広がっていく構造になっています。18歳という多感で不安定な時期に寄り添うような言葉選びが印象的です。
歌詞の解釈と深堀り
負けない何が欲しい
“私”だけの愛が欲しい
ここでは、「誰かと比べられる愛」ではなく、自分だけに向けられた、絶対的な承認を求めている様子が語られています。“負けない”という言葉からは、無意識に他者と比較してしまう痛みと、その葛藤が感じられます。
羨ましい ただ虚しい
嫌われたくもないけど
自分を好きで居たい
この矛盾した感情の並列は、多くの人が共感する部分かもしれません。「他人からの評価」と「自分自身の在り方」のはざまで揺れる心が、まるでそのまま言葉になっているようです。
「誰かの私でありたかった」
勘違いしちゃうから
ひとりにしないでよね。
この一節は、この歌の核心とも言えるフレーズです。
“誰かに愛されたい”“求められたい”という気持ちが、自分自身を見失わせてしまうことの危うさを描いています。
曲の後半に向かうにつれ、歌詞は次第に内面的な“再生”を予感させるようなトーンへと変化していきます。
ねぇ 私の私で居てもいいの?
あの子にはなれないし
なる必要もないから
この部分は、まさに自己肯定の芽生えです。
“自分以外の誰か”にならなくてもいいという気づきは、聴き手にとっても癒しと励ましを与える言葉となるでしょう。
魅力のポイント
『ダーリン』の魅力は、その歌詞のメッセージ性と音楽的構成にあります。前半は静かに心情を語り、後半に向けて感情が爆発していくような構成は、まるで内面の揺れ動きをそのまま音楽にしたようです。
また、大森元貴のボーカルも、静けさと力強さを絶妙に行き来し、リスナーの心を揺さぶります。MVもまた、光と影、距離感などをテーマにした演出で、楽曲の持つ情緒を視覚的に補完しています。
リスナーからは、「18祭バージョン」「オフボーカル」「ソロボーカル」など、それぞれの形に違った魅力があるとの声も。多面的に楽しめる楽曲です。
Mrs. GREEN APPLEの他の楽曲との比較
『ダーリン』は、過去の楽曲と比べてもかなり“寄り添う”姿勢が色濃く出た作品です。例えば『僕のこと』では、自己肯定と希望をテーマにしていましたが、『ダーリン』ではさらに繊細で、他者との関係性や本音の吐露に焦点が当てられています。
このように、Mrs. GREEN APPLEは楽曲ごとにテーマを深化させながら、音楽的にも表現の幅を広げ続けています。
まとめ
Mrs. GREEN APPLEの『ダーリン』は、ただのラブソングではありません。孤独、不安、そして“誰か”を想う気持ちを軸に、感情の機微を丁寧に描いた楽曲です。特に“18歳”という人生の節目にいる人々に向けたメッセージが強く込められており、リスナー自身の経験と重ね合わせて聴くことができる、非常にパーソナルで感動的な一曲です。
タイトルに込められた親しみと、そこに潜む“叫び”のギャップ。
そして、一人称の「私」から滲み出るリアルな感情の機微が、聴く者にまっすぐ届く。それが、この曲の最大の魅力だと言えるでしょう。Mrs. GREEN APPLEの音楽がまたひとつ、新たな地平を切り開いたように感じられます。
参考資料/リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
最後に
以上、Mrs. GREEN APPLE『ダーリン』についての紹介および解説記事でした。
今回の記事は、私が記事やネット上で調べた情報を基に、自分なりの解釈や考察を加えた内容です。この曲の魅力を少しでも伝えることができていれば幸いです。
Mrs. GREEN APPLEは、『ダーリン』以外にもこれまでに100曲以上の楽曲をリリースしています。ぜひこの曲をきっかけに、他の曲にも耳を傾けてみてください!
引用元一覧:
- Mrs. GREEN APPLE『ダーリン』 / EMI Records
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