RADWIMPSの名曲『セプテンバーさん』歌詞の意味や魅力を解説！(曲解説）

「セプテンバーさん」とは？

RADWIMPSの『セプテンバーさん』は、アルバム『RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』（2006年）に収録されている楽曲。温かくも切ないメロディと、心に残る歌詞で、リリースから長年にわたって多くのリスナーに愛され続けています。

この曲は、RADWIMPSのキャリアの中でも特に「喪失」と「再生」に焦点を当てた作品のひとつ。

「セプテンバー（9月）」は夏の終わりと秋の始まりという季節の境目。この変わりゆく時期と、歌詞に描かれる切なさが重なり、まるで過ぎ去った大切な人や時間に語りかけるような楽曲となっています。

タイトルの魅力と意味

「セプテンバー（9月）」という言葉には、夏の終わりと秋の始まりという、どこかセンチメンタルな雰囲気が込められています。
「さん」を付けることで、9月という時間や気候をまるで人格を持った存在のように表現し、優しく語りかけるような印象を持たせています。
この親しみやすい響きが、楽曲の持つ温かさや寂しさを引き立てるポイントになっています。

歌詞の魅力

「夏の終わり」と「大切な人」との時間

「夏」ってだけでキラキラしてたあの気持ちが好きなの
「もう少しだけここにいさせて」そんな顔で僕見るの

夏の象徴する青春や輝きが終わってしまう寂しさを表現しつつ、
「もう少しだけここにいたい」という言葉には、何かが終わることへの切なさや未練が込められています。

セプテンバーは「つなぐ」もの

こんな二人を繋ぐのはきっとなんでもないセプテンバー

「なんでもないセプテンバー」という表現が印象的です。
9月は特別なイベントがあるわけではないけれど、
それでも大切な人との関係を繋いでくれる何かがある、というさりげない日常の美しさを感じます。

「魔法が解けても残るもの」

本物よりもリアルに見えたあの魔法はもう解けた
けどギュっとすればキュンとなるあれは夏のおかげなんかじゃない

「魔法が解けた」という表現から、恋や夢のような時間が終わったことがわかります。
でも、それでも「キュンとなるもの」は残っている。
これは、夏のせいではなく、相手への本当の気持ちだからこそ続いている、ということが伝わる素敵な表現です。

「響くセプテンバー」

夏が散らかしてった心を僕は紡ぐよさぁいざ行こう
そう今だからこの声だから響くセプテンバー

夏の思い出が散らばる中で、それを拾い集め、もう一度前に進もうとする決意。
「響くセプテンバー」というフレーズは、まるで9月が過去と未来をつなぐ架け橋のような役割を果たしているように感じます。

「夏はいなくても、君がいれば」

声が響きだすそこに意味はなくとも
君が笑い出すそこに夏はいなくとも

夏が終わっても、大切な人がそばにいることで、その瞬間が輝く。
「夏の魔法が解けた後も、本当に大切なものは残る」というメッセージが、
シンプルな言葉の中に込められていて、とても感動的です。

野田洋次郎のインタビューから見る制作背景

実際に『セプテンバーさん』が生まれた背景には、RADWIMPSのメジャーデビューを記念するライブのエピソードがあります。2005年9月3日、横浜BLITZで行われたライブの際に、野田洋次郎はこの曲を作り上げました。ライブ当日の直前まで、歌詞は完成していなかったと語っています。野田は、歌詞をその場で即興で歌うことを決意し、特にこのフレーズに思い入れがあることを明かしています。

「君が笑える理由なら僕が見つけてきてあげるこんな僕らを繋ぐのはきっとなんでもないセプテンバー」

この部分は、ライブに足を運んでくれたお客さんに向けて伝えたかった言葉だと語っており、ライブのその瞬間、観客とのつながりを感じながら歌ったことが印象的だと言います。歌詞が完全に出来上がっていない中で、即興でその一部を歌うことによって、この楽曲に込められた感情が一層深くなり、ファンにも強く伝わったのでしょう。